
西安の街を歩けば、いたるところで羊肉の香りが漂ってくる。この古都には、数々の伝統的な料理が存在するが、中でも「羊肉泡馍(ヤンローパオモ)」は、西安を代表する名物料理のひとつである。
羊肉泡馍は、文字通り「羊肉のパンに浸す」という意味の名前の通り、柔らかく煮込んだ羊肉と、独特の食感を持つ「モ」と呼ばれる平たいパンが合わさった、シンプルなながらも奥深い味わいの料理だ。
羊肉泡馍の魅力
この料理の魅力は何と言っても、その独特な食感が楽しめる点にある。まず、羊肉は長時間煮込まれており、箸で簡単にほぐれるほどの柔らかさ。口に入れた瞬間、肉の旨味がじんわりと広がり、濃厚なスープとの相性も抜群だ。
そして、もうひとつの魅力が「モ」と呼ばれるパンである。このパンは、小麦粉を練り、薄く伸ばして蒸したもので、独特の弾力と歯ごたえを持つ。スープに浸すと、表面が溶け出しながら、中はしっかりと食感を残すため、一口食べるごとに異なる食感を楽しめるのが面白い。
羊肉泡馍には、様々なバリエーションがある。お店によっては、 cilantro やネギなどの野菜をトッピングしたり、唐辛子でピリッと辛い味付けにすることもある。また、スープのベースも、塩味ベースのものや、骨からじっくりと出汁をとった濃厚な肉汁ベースのものなど、お店によって味が異なるのも楽しみのひとつだ。
羊肉泡馍の歴史
羊肉泡馍の起源は諸説あり、はっきりとしたことはわかっておらず、古くから西安で食べられていたと考えられている。
一説には、元朝の時代に始まったという説もあり、当時、兵士たちが戦場に持っていき、食事として食べていたと言われている。そのシンプルな調理法と栄養価の高さから、広く普及し、現在に至るまで西安の代表的な料理として愛され続けている。
羊肉泡馍を食べるためのヒント
羊肉泡馍は、お店によって味が大きく異なるため、まずは定番の「塩味ベース」を試すことをおすすめする。スープの旨味と羊肉の甘みがしっかりと感じられるので、初めての人でも美味しく楽しめるだろう。
また、パンは、スープに浸しながら食べるのが一般的だが、そのまま食べても美味しい。パンの歯ごたえと小麦の香りが、羊肉の濃厚な味わいと調和して、独特の風味を生み出す。
羊肉泡馍のレシピ(簡単に)
羊肉泡馍は、家庭でも作ることができる。ただし、お店のように本格的な味を再現するのは難しい。それでも、基本的な手順を理解すれば、家庭で楽しむことも可能だ。
材料 (2人分):
- 羊肉: 300g
- モ: 市販の平たいパン (1枚)
- ニンニク: 2かけ
- 生姜: 1かけ
- 干し中華: 小さじ1
- オリーブオイル: 大さじ1
- 塩: 少々
- 胡椒: 少々
作り方:
- 羊肉は一口大に切り、塩コショウで下味をつける。
- 鍋にオリーブオイルを熱し、ニンニクと生姜を炒める。香りが立ったら羊肉を加え、焼き色がついたら水を加えて煮込む。アクを取りながら約1時間、柔らかく煮込む。
- モは、手でちぎってスープに入れる。
- 塩、胡椒で味を調える。
- 器に盛り付け、お好みで cilantro やネギなどをトッピングする。
ポイント:
- 羊肉は、長時間煮込むことで柔らかく仕上がります。焦がさないように、弱火でじっくりと煮込みましょう。
- モは、スープに浸す前に手でちぎることで、よりスープを吸収しやすくなります。
まとめ
羊肉泡馍は、西安の伝統的な料理であり、そのシンプルな見た目とは裏腹に、奥深い味わいを堪能できる一皿だ。ぜひ、西安を訪れる機会があれば、この至福の一品を体験してみてほしい。